創業者のリスクマネジメント 2007.12.11

●経験が少なくリスクに直面していることに気づかない
「自分が知らないことはリスクだと感じない」というリスクです。
経験や知識が少ないためどのようなリスクが発生するのかイメージできません。
事前にアドバイスされても理解できなかったり、自分には関係ないと無視する
ので、結局トラブルに見舞われます。
この対応は2つ。アドバイスを受け入れる素直さを身に付けるか、目標と事業
計画の精度を高め事前にリスクを予測するか、ということになります。

●自社の位置づけが低いことに気づかない
あるデザイナーが工場にバッグ製造を依頼しましたが、納期ギリギリになって
「都合で受注できない」と断られました。
工場は安定発注してくれる大手企業の仕事を優先するため、手間がかかり利益
にならない新規の仕事を断ってきたのです。

創業者が弱い立場であることを認識していれば、どうすれば取引をしてもらえ
るか、もっと配慮していたはずです。
相手の立場で自社の位置づけを考えてみることも必要です。

●その事業は自分に適しているか
足のトラブルを解消するオーダー靴で起業したいという女性が訪問してきました。
事業のポイントは足のトラブルを解消するための靴の処方の方法ですが、当人に
はそのノウハウがありません。

製造先もこれから探したいとのこと。
ニーズがあるのもわかるし、やる気も伝わるのですが、事業の中で本人の力を
活かせる部分がほとんど無いことが気になりました。

困っている人がいる=ニーズがあることと、本人がその事業を起こすのに適し
ているかどうかは別問題です。
やる気があるとどうしても近視眼的にビジネスに取り組みがちですが、自分の
能力や特性が活かせるのか、一歩引いて客観的に見つめなおすことも必要です。

●お客様ではなく商品だけを見ている
クリエイターや職人、技術者など「モノ」を作り出す仕事の創業者に共通する
のは、購入する「お客様」の視点を忘れてしまうことです。

商品の価値は、「商品力×価値の伝達力×相手の要求度」で決まります。

技術競争のための開発投資をしても、相手に伝わらなかったり、必要とされな
ければ意味がありません。無駄な高スペックは高価になり市場性を失います。
まずはお客様が何を求めているかを知りましょう。

●競合他社の動向を知らない
創業者が自信満々に説明する事業計画が、他人のプランや既に実績を挙げてい
る他社の事業と驚くほど似ていることがあります。本人は独自で考えた新規性
のあるプランだと説明しても、こちらから見ると規模の小さい後発事業者だと
いう認識のずれが起こります。

理由は、本人が競合調査や、過去の類似事業を調べなかったためです。
新規性のある事業だと思っても、他社が取り組んでいないか、他社が撤退して
いないかを調べ、その上で対策を立てなければならないのです。