合理的な非常識 2007.07.12

ここ数年はショッピングセンター開店ラッシュとか、百貨店の改装とか、売場
が増えるし、変化が激しく、たまには売場を見て歩かないと、取り残されてし
まいます。

日本の市場には、ホンとにブランドが多くて、商品は溢れかえって、思いつく
限りのテーストが出揃った感があり、それじゃ若手ブランドは何をすればいい
のだろう、人とモノで溢れる売場で途方にくれてしまいました。

やはり先行している既存ブランドに対抗するためには、他社のマネをして同じ
ことをしていては成功が難しいでしょう。
有名ブランドに憧れるのはいいのですが、そういう風になりたいからと、同じ
ような商品を作っていては、自分のブランドの存在意義がありません。

現在成功しているブランドに共通するのは、「他のブランドには無い非常識さ」
を提示できていることではではないでしょうか?

それまで、業界には無かった価値や切り口を提示できて、それが受け入れられ、
そのジャンルのオンリーワンになるということです。

マネをするのではなくて、皆がマネをしたくなるような鮮やかなコンセプトや
デザインを提示するのです。

新しいものを提示するということは難しいのですけど、業界の常識や慣習に捉
われないと言う意味で、「非常識さ」が必要なのです。

非常識というと、常識的なことに反することだと思って、破壊的や悪趣味に走
ったり、反抗的な態度を取ったり、誰にも受け入れられそうにないモチーフを
探し出したりすることがありますが、そうじゃありません。

だいたい、人と同じことをしていたら目立たない、売れないからと言って、自
分の気持ちに嘘をつきながら「何かに逆らう」ためのデザインをしてもお客様
に支持されるようになるかどうかは疑問です。

業界の慣習や常識の非合理的な部分を、消費者やデザイナーの視点で正面から
突き破っていくことに他なりません。
誰もが気が付かなかったけれど、お客様が欲しがっているものを見つけ出すこ
とかもしれません。ありそうでなかったものを作り出すのです。

だから姿勢としては、非常識にすることが目的ではなくて、自分の中の合理性
や必然性を追求していった結果、業界の常識や慣習に足を引っ張られないで、
本当にやりたいことを極めていく。という感じです。

本人は「正しいこと」「あるべきこと」と信じてデザインしているわけです。
例えば、縫製工場では手間を省くために普通はこういう仕様になっているけれ
ど、お客様には絶対こちらがキレイ(とか便利)と言ってもらえるはずだ。
というような信念です。

このアイテムは市場では求められていないと言われているが、本当はデザイン
をよくすればもっと欲しいという人は多いはずだ、とかいうのもそうかもしれ
ません。

ということで、考えていくと、古い慣習、こうあるべきと言う観念、業界常識、
先人のコピーとかに無条件に従うのではなくて
「自分自身で新たな価値を創り上げる」という強い信念が必要なのでしょう。