「信用」が無いとビジネスにつながりにくい 2005.10.31

創業期のブランドの多くは「イメージ」にはこだわるのに、「信用」を軽く考えているように感じてしまいます。

私は、「信用」はビジネスをする上での基礎・基盤だと思っています。最初の段階での信用というの「取引しても大丈夫だという安心感」です。
ただでさえ創業期のブランドは、既存企業に比べれば、キチンと取引できるか不安を感じさせてしまいます。この不安を取り除くだけの「圧倒的な商品力」があるか、もしくは「不安を解消する」か、どちらかが無いとビジネスに結びつきにくいのです。

では、みなさんは、この不安を取り除くために配慮しているでしょうか?
例えば、名刺を見ただけでも
  ・プリンターで出力したものをいい加減に切っている→仕事がいい加減
  ・ぺらぺらの薄い紙→お金が無いの?
  ・パソコン標準のゴチックとか使っている→こだわりが低い
  ・住所が書いてない→本拠地が無い→ビジネスには不適
  ・携帯電話番号しかない→本拠地が無い→ビジネスには不適
  ・名刺の隅が折れているのを渡す→相手への配慮に欠ける
  ・文字が小さすぎて読めない→ビジネスする気があるの?
等などでから、その背景を連想されるので、不安を感じさせてしまうのです。

展示会に出展しているのに、
  ・販促ツールがしっかり作られていない→ビジネスの体制が整っていない
  ・装飾展示が貧弱→良く見せるこだわりが低い→ビジネスの意識が低い
  ・商品のボリュームが少ない→始めたばかり→ビジネス経験が浅い
  ・手作り感覚の商品だけ→納期が不安
  ・取引条件が不明確→納期が不安
  ・サンプルの仕上がりが汚い、しわが多い→品質が不安
  ・ブランドのロゴが紙1枚の掲示→ブランドイメージを大事にしない
  ・挨拶が満足にできない→客に対する意識が低い

展示会後にネットで検索しても、
  ・ブランド名が出てこない→実績不足
  ・ホームページはあるが更新されていない→ビジネスも停滞?
  ・ホームページのセンスが悪い→服作りもセンスが悪いのでは?
  ・デザイナーのプロフィールが無い→怪しい
  ・電話などの連絡先が記載されていない→怪しい
  ・本拠地が記載されていない→怪しい

※このあたりはネット通販を利用するときの自分の心理を考えればわかるでしょう。

名刺や展示会に限らず、販促ツールやホームページ等、電話での対応、直接の打ち合わせなど顧客との接点になる場面を全て考えていくと、不安を取り除くためには、やるべきことがたくさんあることがわかります。
少なくとも自分のブランドが不安を解消できているか、についてはしっかり把握しておく必要があるでしょう。(どうしても改善できない部分については、相手に指摘されるまえに、こちらから理由を伝えておきます。)


現在のように、星の数ほどブランドがあり、たくさんの商品がある状況だと、不安を感じるブランドとわざわざ取引する必要は無いのです。

さて、「展示会に出れば信用がつく」と言われますが、これはバイヤーに対して「展示会に連続で出られるぐらいの企業力がある」ということを示すことができるということです。
しかし、展示会に出るための費用や労力に投資をしすぎて、信用を高めるための準備に手が回らないようでは本末転倒です。他の部分がみすぼらしくては、せっかくの出展料が無駄になってしまいます。

そのためには、お金をかけない範囲で、信用を高める方法を実践していってはどうでしょうか。どの方向から見られても、不安を感じさせない体制を徐々にでも作り上げるのです。
この準備ができないままに、展示会来場者と接触しても、出展料を払っているのに、細かい部分で不安を感じさせると言うチグハグな印象を与えてしまいます。またバイヤーが展示会後にネットや資料で与信を確認する際に、不安を解消し、信用を高める体制になっていなければ、取引の優先順位を下げられます。

逆に、展示会に出なくても、きっちりとツールやホームページを作ってビジネスに対する取り組み姿勢や体制を理解してもらうことで、直接の売り込みをきっかけに取引をしてもらうことは可能です。

ブランドや商品のイメージを考えることは重要ですが、それは事業者の「信用」という土台の上に作られるものです。この土台が無ければ、イメージも活きてこないのです。

ベンチャービジネスで絶対成功しようという人は、まず信用を高めるために、事務所を借りて所在地を明らかにし、電話秘書代行を頼んで電話には必ず対応できるようにして、しっかりした名刺を作り、法人化していって、メインバンクを作り、マスコミにもたびたび登場して、と信用を高める努力をしています。
これはおそらく、ベンチャー志向の人は、ある程度企業でビジネスのルールを学んできたので、「信用」を得ることがビジネスにおいて不可欠だということを知っているからだと思います。