好きなことを仕事にする 2005.12.02

先日デザインフェスタを見てきました。5000組ものいろいろなジャンルのクリエーターが作品発表の場として参加しています。
このクリエーター達の若いエネルギーには圧倒されるものがあったのですが、どうして圧倒されるのか、ということを考えてみました。


私が「これはスゴイな~」と思うものには、どれもその作品を作り出すためにかかった労力の積み重ねと長い試行錯誤の過程が背景にあるものだと気がつきました。

小さな人形を圧倒的な数で飾っているブース、ユニークなデザインで練り上げられたTシャツ、壁一面の細密に描かれたイラスト、丹念に編み上げられたレース、驚くような場面を捉えた写真・・・・どれも、思いつきだけでは作り上げることができません。小手先のものでは「欲しい!」と思えるほどにはならないのです。

一つのテーマにこだわって、何度も何度も試行錯誤を繰り返したり、身体が覚えるまで技術を修練したり、一つの瞬間に出会うために途方も無い時間を費やしたり、ということが見えてくるのです。
単純な線で構成したイラストも、その洗練さに行き着くまでに、手が自然な線を描けるようになるまで、ずっと描き続けたのでしょう。


どうして、そこまでこだわることができるのだろう、どうして続けることができるのだろう、と考えてみると、答えは簡単です。
「好きなことだから続けられる」のだと思います。

成功している人には「好きなことを仕事にしている」タイプが多いように思います。それは、好きなことをしていると、それにのめり込んで、集中して仕事を続けることができるからではないでしょうか。のめりこむことで、能力を持続して発揮することができます。そして好きなことだから、苦労を苦労と思わないのです。

よく「好きなことを仕事にする」ことを「楽(簡単)にできることを仕事にする」ことと勘違いする人がいます。辛い仕事が嫌だから、そこから逃げることを口実に「好きな仕事」をやるべきだというのですが、これは間違いだと思います。楽なこと=好きなこと、というのは、ほんとうにやりたいことが無い人の考えではないでしょうか?

好きな仕事は必ずしも楽で簡単な仕事ではありません。好きな仕事でも、時には重労働や、苦しいことや、疲れること等もあります。しかし、好きな仕事というのは、苦労さえも楽しく感じさせてくれるものではないでしょうか?
苦労も楽しむから、長いこと続けることができて、続けるから仕事が上達し、洗練されてくるのです。熟練度が高まることで品質も安定して、商品としての価値も高まるのです。

もちろん仕事ですから、自分に合わない、嫌いな仕事をしている人も多いと思います。しかしながら、もしデザイナーやクリエイター、そしてファッション関連商品を扱う製造業なら、できれば好きなことを仕事にしてもらいたいと思います。
知識だけで作った商品と、自分が好きでコダワリ抜いて作った商品では、お客様の感じ方も異なってきます。
楽しみながらライフスタイルやファッションスタイルの提案をしている商品はお客様の共感を得ることができます。ある種の魅力が溢れているのです。
それがファッション本来の価値に繋がるのではないでしょうか。

売上げが落ちたり、成果が出ないと、最初は好きだった仕事も嫌いになってきます。そうすると、余計に魅力的な商品が作れなくなります。
そういう時は、
「自分が本当に好きなことは何なのか」
「何をしているときに夢中になれるのか」
ということを、考えたり、感じたりしてみると良いのかもしれません。